大里ブログ

石井副社長の建築日誌 2020年10月22日

◆東北視察レポート

初日、福島の原子力災害伝承館、大川小学校、南三陸庁舎跡を視察
2日目、中尊寺及び陸前高田を視察

10年前の衝撃を思い出す。
津波により破壊された町
原発で人が消えた異様な風景
避難所での人々の生活
遺族の悲しみ、、、、

10年経ち
福島は原発で時間が止まったままの地域があるが、それ以外は今なお続けている土木や建設工事、税金の惜しみない投入により町は様変わりしていた。町のあちらこちらをコンクリートで固められて行く壁、次々に建てられている公共建築。そして復興住宅。
違和感を感じずにはいられない。

宿泊した蔵王山麓の温泉旅館は100年を超える建物で有形文化財になっていた。一番古いものは400年を超えていた。木、土などの人自然の環境に馴染む材料を職人の確かな技術で手間を惜しまずかけてつくられた日本建築は、年月を重ねて行くことで真新しいものにはない落ち着きを放つ。長い年月、人々を迎え入れ、自然の中で存在し続けることでできた荘厳な建物は、人を圧倒する。またそこを訪れる人を思いつくられた空間は人々をやさしく包む。そこで歴史を感じながら思いを馳せる事はなんとも言えない心地よさだった。また中尊寺でも同じような事を感じた。

そこから思う事は
コンクリートだらけで作られて行く被災地は10年後、50年後、100年後、、、どうなって行くんだろう。
長い時間軸で物事を考えられなくなった日本人の問題点を考えさせられた。
復興という名のもとに、目先の経済や権力にとらわれてつくられていく被災地の行末が心配になる。
被災地で今なお続く工事の数々は、
津波伝承館で掲げていた『命を守り海と大地と共に生きる』のスローガンに沿うものになっているのだろうか?

目先にとらわれない100年200年、願わくばもっと先を見据え未来に繋げて行く生き方とは。
今回の東北研修で考えさせられたこの事を
実践のなかで答えを出していきたい。

石井 俊晴

 

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